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高校時代 6

入部してプールの部室へ行くとすでに一人プールで練習をしていた。平泳ぎである。
25Mのターンをしてこちらを向いたその顔を見て驚いた。
当時は競泳中も練習中もゴーグルやキャップもなかったので彼の顔はすぐ判った。
ついでに言うと、競泳用パンツの下のサポーターすらなかったぐらい。
で、晒しの引き裂いたもの6尺フンドシだった。

美術部にいたぞ!彼の名は、惟弘と言う。色黒で男っぷりのいいモテタイプだと思った。
その日の中にに親しくなり、その日の中に彼の家へ寄食し大飯を食った。
そして何よりも驚いた事は、「高校時代1」でラブレターを書き、「新は慎だ」と返事が返ってきた美術部の女性が2,3軒隣の住人だった!
私は農業科、惟弘は普通科。二人で居る必要性は何もないのにもかかわらず、何の疑いもなく彼の家から学校へ通った。

5月に入ったら水泳新人戦を兼ねた地方予選があった。
隣町の今治西高等学校で県下一の有名進学校でもあり、オリンピックへ行った”田中守”もここの出身だった。
プールは公認の50Mプールで、何と長いプールだと感じていた。
競技も進み、ただ見ているだけの私に先輩からいきなり指名がかかり、特別競泳400M平泳ぎに出場することに。全3名の中1名私がエントリーされた。
私は足が震えた。50Mプールの長いこと。向うに到着するか?それが心配で、スタート台に上がったときは死刑台に立った様な気分がした。
ピストルが鳴ってその音で自然と頭から飛び込んでいた。
その水路の長かったこと。先の2名はもうすでにゴールしプールサイドに上がっても、私はまだこれから引き返さなくてはならない。
それから永遠と泳いだ気がする。
400Mが終わってプールへ引きずり上げられ両脇から抱えられるようにして私の初陣は終わった。
つづく・・・