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段ボール

古いといわれることは判っています。
1999年頃に始めた乾漆油彩の再度制作にかかっています。

古段ボールや紙くずを漆でかため、乾漆のベースを作り油彩で仕上げるのです。
絵画のような工芸のようなものですが、その古紙が国々によって違った顔を持っていて、それがなかなか面白いのです。
日本ではなかなか各国のものが入手困難ですが、ニューヨークなど歩いていると惚れ惚れする古紙を見ることがあります。特にホームレスが尻にひいているもの等は新しい段ボールを持って行って、交換したくなるようなものを見ることがあります。

使いこなされた古紙の味は、引搔かれたキズと違い引搔いたキズでは全く人間を感じないものです。

アメリカは世界中から物資が来ます。ニューヨークまで古段ボールを探しに行けないので今回はハワイの裏町通りを自転車であさっています。

上の写真 2017年6月ハワイ運河沿い。
下の写真 2012年、トランプタワー前の交差点。水彩紙もハワイはそろっています。水彩紙をせたろうてます。

 

ただいま

2015年、岡山県立博物館で「破格」という展覧会があった。

出品作品の一部に私も関わった。

その時、十数人の作家が後楽園所持の名品“只今”という茶碗の倣作をやった。

私は数作り、それぞれに銘を付けた。

 

元銘「只今」に対し、

 

「おかえり」

「お元気」

「いってらっしゃい」

 

茶碗は全部出て行ったきり。その後音沙汰なし。

 

ハウス・オブ・ヤマナカ

最近面白い本を入手した。
「ハウス・オブ・ヤマナカ」 新潮社
朽木ゆり子著  税別正価2000円
私が買ったのはネットで本1円と送料実費である。

戦前日本に大きな美術商が3店あり、大阪道具界の三傑と言われた。中に特大会社“山中商会”があった。
美術の輸出入をアメリカを中心にヨーロッパや中国と活躍した。その資料的著書である。
アメリカもメトロポリタン美術館をはじめ、有名美術館や個人の大コレクションはこの山中商会の仕事だったそうな。残念なことに山中商会は商売の記録を残さなかった為、具体性が乏しく、名品にかかわった証がないらしい。

私の旧知の石仏がある。その木台から感じるのは、この物はその山中商会が日本国内でやった展示販売展ででた“唐”の五尊仏だと思っていた。
最近北京の信頼できる筋に写真を見てもらった。
「とても素晴らしい北魏の五尊仏ですね。」
ただし、今中国国内での売買は政府によって禁止されている。日本からの個人輸入はOKだ。
との返事が返ってきた。

この著書 数万円以上の価値があると思われるにもかかわらず1円とはこれ不思議。

 

 

 

 

元染

ハワイ・ホノルル美術館の元染の平鉢は凄い!

MOA美術館の深鉢と絵がよく似ている。雄の水禽の向きが違うくらい。

 

この平鉢を見ると、元染の焼成された温度を感じる事が出来そうだ。焼成温度帯が2つあり、“明染”のガラス質に対し、“元染”は玉化している。

鉢のヘリ4~5mmぐらいの釉が胎土に吸収され、表面が紙やすりの面の様になっている。

したがって1400℃ぐらいまでいっていると考えられる。

絵付けや釉薬掛けは生掛けで、全面にピンホールや釉切れがある。

 

凄いのは呉須溜まり!

絵も線も胎土に染み込み、白磁の部分より一段深く掘り下げた様になっている。又呉須溜まりの強い箇所は池になっている。

 

鉢の裏の土見せは酸化仕上げらしく、全面に白磁土が弱い赤になっている。元染を説明するには、このホノルル美術館の平鉢は、条件が全部満たされているようだ。