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高校時代 2

私の家の前に小さな空家があった。
ある日一人の学生風な人が入居して来た。
名は修三と言った。身体が大きくたくましく、ヒゲ面の角ばった顔が笑えばとても優しく感じる人だった。
彼は荷馬車を引いて、工業廃棄物を埋立地に運ぶ仕事をやっていた。
彼は私の家庭教師的な事をやってくれた。私は眠くて眠くて毎夜あくびばかりしていた。英語も数学も彼が復習をしているようで、まるで他人事の様だった。
食パンにマヨネーズをたっぷり塗ってその上に砂糖をのせて、その上にパンを重ねたサンドイッチを彼は良く食べていた。
大きく口にパクつく様はとてもたくましく思った。
私も今でも良くやる。甘酸っぱくてウマイ。
油絵も彼が指導してくれた。
英語と数学は、彼の努力の甲斐もなくテストはいつも3点だった。0は許されなかったのだろう。
通知表を見ると、科目では、生物が105点、美術は100点、なぜか科学はいつも90点以上で、数学が出来ないのを教師は不思議がっていた。
生物の105点は教員室の担当に聞きに行った。生物の先生は高校教師が不足で、大学から来ていた。105点の5点はミミズの解剖とても上手く、雌雄同体の卵巣と睾丸を明解に取り出して見事だったと褒めてもらった。
つづく・・・