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高校時代 3

修三の絵の教えは、絵を描くことではなかった。
”どうやって団体展に入選するか、世の中へ出て行くか?”
のようなことを言っていた。
それは、後の私に強烈に役に立った。
今日の生活もこのときの教えのお陰だと感謝している。
彼は武術の話もよくしていた。それも実戦形で相手をどうやって倒すか。
で、私の一番気になったのは相手の顎を脱臼させるのが命に別状無く倒すことが出来るという話だったと思う。
又、学生時代合宿で腹が減って、宿舎の近くの養鶏場の鶏を盗んで皆で食った話もあった。鶏は針一本を後頭部の首の付け根に刺し込めば声も無く一刺しで殺すことが出来るそうだ。
そんな話の時の彼はまるで学生そのものだった。

ある雨の日、彼は仕事もなく、「映画を見に行こう」と誘われて汽車で今治市まで行った。
その時の映画は確か「ジャンバルジャン」だったと思う。
映画の途中、トイレに行くと言って傘を残したまま帰って来なかった。それが彼との最後の別れとなった。
何年かたった後に「京都の大学生で学生運動をやっていて、追われて逃げてきていた」とのうわさを聞いた。
今も生涯も私の一番会いたい人だ。
その人の名は イズメ シュウゾウ と言う。