高校時代 18
私は彼女と進学を天秤にかけることは出来なかった。
彼女とのデートも少しずつ進み、手もつながないデートではあるが数だけは増えた。
経ってみれば高校生活も短かった。夢の覚めるように薄れて先へ先へと進んだ。
彼女と離れて行くのは私には耐えられなかった。
でも絵を描きたいという思いは変わらなかった。
クラスの者は就職や進学へ進路は決まっていった。
私は両親に切り出せないまま、卒業間際がせまった。
私は決心をした。彼女と近くの海で自分が進学したいことを伝えた。
しかし、わたしには進学等何一つあても無く、東京へ出て行くことすら不可能な環境であったにもかかわらず。
自分で自分を決心させたかったのだ。
2人で並んでツーショットの写真を撮った。
カメラは古い型でジャバラになっていた。そのジャバラには切れ目が出来、絆創膏が貼ってあった。
今のカメラの様に自動シャッターが付いてなく、シャッターボタンに太い糸を結わえ、三脚の足元に石を置きその石の下へ糸を通し引っ張った。
この時の彼女の顔は今も覚えている。
いつもキラキラしていた彼女の顔は白く、笑っていなかった。